予言と未来
☆
「何も柄(つか)で殴んなくたって良いじゃねェかよっ。」
「いや、ガチでムカついたし。」
「だからってなぁ!! こっちはマジで殺されるかと思って、ビビったんだよっ!!」
愛光達が宿泊している宿の一室で、ウィンとライネスは言い争いを していた。
大会は結局、ライネスの優勝で幕を閉じた。
振り下ろされた剣は、ウィンを傷付ける事 無く、彼女に痛い想いを させられたライネスが、腹癒せに柄で思い切り殴っただけだった。
それでもウィンの頭には大きな瘤(こぶ)が出来たのだが。
「なぁアイカ! あの声と顔は反則だよな!?」
「私、聞いてないし、見てないし。」
「リホ!」
「ライネスの声と顔を身近に感じられただけ、幸せですよ。」
「……リー!」
「ウィンお姉ちゃんがライネスお兄ちゃんの事 怒らせたのが悪いんだよ。」
「レイム!」
「やーい、ウィンのビビりー。」
「…………。」
全員に否定され、ウィンは遂に押し黙ってしまった。