予言と未来







「何も柄(つか)で殴んなくたって良いじゃねェかよっ。」



「いや、ガチでムカついたし。」



「だからってなぁ!! こっちはマジで殺されるかと思って、ビビったんだよっ!!」



愛光達が宿泊している宿の一室で、ウィンとライネスは言い争いを していた。



大会は結局、ライネスの優勝で幕を閉じた。



振り下ろされた剣は、ウィンを傷付ける事 無く、彼女に痛い想いを させられたライネスが、腹癒せに柄で思い切り殴っただけだった。



それでもウィンの頭には大きな瘤(こぶ)が出来たのだが。



「なぁアイカ! あの声と顔は反則だよな!?」



「私、聞いてないし、見てないし。」



「リホ!」



「ライネスの声と顔を身近に感じられただけ、幸せですよ。」



「……リー!」



「ウィンお姉ちゃんがライネスお兄ちゃんの事 怒らせたのが悪いんだよ。」



「レイム!」



「やーい、ウィンのビビりー。」



「…………。」



全員に否定され、ウィンは遂に押し黙ってしまった。

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