予言と未来
ウィロアの細い指先が、ライネスの頬を そっと撫でる。愛光は その光景を、気持ち悪いと思った。
「止めなさいよっ!!」
愛光が光線(ビーム)を放つと、ウィロアは素早く それを躱す。
支えを失ったライネスは、その場に頽(くずお)れた。
その隙に、ライネスとレイムを除く全員が、ウィロアに飛び掛かる。彼女を攻撃しようと した愛光は、驚愕に目を見開いた。
ウィロアは――笑っていた。
何の音も しなかった。
愛光の目に見えたのは黒い靄だけで。
気が付くと、愛光は地面に俯せに倒れていた。
「……う……。」
痛む躰を必死に動かし周りを見渡せば、リホもウィンもリーも、地面に倒れている。ライネスと、彼の傍に向かっていたレイムだけは、辛うじて無事なようだ。
「……何が……起こったの?」
呟いた愛光の声は、自分のものとは思えない程、酷く掠れていた。
真っ直ぐに聳え立つウィロアを中心に、地面は円状に抉れている。
「……見えなかったでしょ?」
ウィロアの嘲笑う声が、聞こえた。