予言と未来



「…………。」


「…………。」



ライネスは全く表情を変えずに愛光を見つめ、愛光も また、そんなライネスを見つめた。



「……お前、本気で言ってんの?」



漸く出て来たライネスの言葉は、先程より正気を取り戻しているようだった。



「ほっ、本気だよ! 勇気 振り絞って言ったのに、酷いっ。」


「……俺には、人を愛す権利も、愛される権利も無い。」



そう言って、俯いてしまったライネスの隣に、愛光は座った。



最早ライネスは、拒まなかった。



愛光がライネスの手に自分の手を重ねると、彼は驚いたように顔を上げたが、振り払いはしなかった。それどころか、少し寂しそうに笑った。



「……お前はさ、俺が どんな奴だったとしても、さっきみたいに、俺を好きだって言えるか?」


「どうゆう意味?」


「俺は……大罪人なんだ。そんな奴を愛せるかって訊いてんの。」


「大罪人? どんな罪を犯したの?」


「……許される事の無い罪。最早、死を以て償うしかない、穢れた罪。


でも俺は臆病だから、死ぬ事も出来ない。誰かに殺して貰えるのを待つしか、出来ないんだ。」



初めてライネスの口から出た、“臆病”と言う言葉。


舞うような綺麗な太刀筋で悪魔を斬る彼には不釣り合いな言葉だった。



「……好きだって言えるよ。」



少し考えて、愛光は答えた。

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