予言と未来
「…………っ。」
ライネスの顔が苦痛に歪むのも構わずに、ヴィルは彼を自分の近くへ引き寄せた。
「……や……っ。」
ヴィルの左腕がライネスの躰を がっちりと抱き寄せた為、彼は小さく悲鳴を上げて抵抗する。
「ちょ……っ。」
そんな光景を見て、愛光も声を上げてしまう。
(……中学の同級生が読んでた、漫画みたい……。)
ライネスもヴィルも綺麗な顔を しているから、何となく そう言う考えに頭が行ってしまう。
(……って、そんな場合じゃない!)
慌てて首を横に振り、正気に返ると、ヴィルが口を開いた。
「お前さ、人間だよな? 4界の理って知ってんの?」
「……少しなら。確か、人界は3界と交流が無くて、天界と空界は仲が良くて……。」
「そうそう。で、天界と空界は、自分達の界に結界を張ってるんだ。悪魔が入って来れないようにする為の結界。
じゃ、何で10年前、悪魔が空界を襲えたんだと思う?」
「え……結界が破られた、とか?」
「違う違う。それはね……。」
ヴィルはライネスの髪を掬い上げ、弄ぶ。
「ライネスが、悪魔を召喚したからだよ。」