透叫
「ちょっと、聞いてるの!?」
ナースの叫びにやっと現実に引き戻され、四黒は何度か瞬きをした。
「あ?ああ、すまない。聞いてなかった」
「もう!あのね、関係ないかもしれないけど、願いが叶った人の周りでよく事故とか強盗とか、犯罪が多発してるんだって。関係ないとしても気味悪いよねって言ったの」
すっかりご立腹のナースをなだめるように、四黒は苦笑しながらそうだなと頷いた。
ポストに書かれていたやつか。
願いが叶う代わりに周りの人間が不幸になるというやつ。
本当に願いが叶うなら、誰かが犠牲になるというのもそうなのだろう。
周りの人間が犠牲になる?
ふっ、この世なんて誰かの犠牲の上に成り立っているようなものだ。
今さら善人ぶる気なんて俺にはない。
四黒は妖しく笑いながら、ナースに詫びの言葉と次は必ずとの約束をして、恐怖を感じたはずの暗い廊下を、鼻歌でも歌い出しそうな気分で歩き、自分の病室に戻った。