水ノ宮の陰陽師と巫女
学園祭が終わってから数日過ぎた頃、ある噂が学園内に広まりつつあった。

それは廊下でも授業中でも、どこからともなく、誰かかしらが、ヒソヒソと話している。

「家庭科の授業、やばいんだってぇ」

「えー!なになに?」

「よくわからないんだけど、被服の時間、ケガ人続出だって!」

「なんで、被服でケガなの?」

「大きなケガじゃないけど、ほとんどがどこかに傷作ってるって話」

「被服、受けたくなくなるじゃん。こわーい」

という内容だ。

調理の時でもケガをする人は前々からいるが、被服の時間はそう簡単にケガをする人なんていない。

ケガと言ってもかすり傷程度のものだが、授業を受けた生徒のほとんどが、どこかしらに絆創膏を貼っているほどだった。

1日くらいで、絆創膏ははがしているのだが、妙な話だ。

この噂が立ってから、家庭科の授業をサボろうとする生徒も出てきはじめた。

「ケガなんてしたくないよ」

「呪われてるんじゃないの?」

なんて、噂は少しずつ大きくなっていくばかりだった。
< 15 / 91 >

この作品をシェア

pagetop