水ノ宮の陰陽師と巫女
私は学園祭が終わってから、橋のところで見た、銀色の長い髪の霊体を、毎夜探した。

仮装行列で通ったルートを重点に捜したが、見つからない。

霊体であれば、昼間でも夜でも、浮遊することはできる。

だが……。

目的をもって霊体が力を使おうとするなら、動くのは夜だ。

学校から帰ってから、ずっと毎晩、探し続けた。

姿を消した、橋の袂は念入りに調べて見たが、霊体の原因になりそうなものは、何一つ見つからなかった。

何一つ手がかりすら見つからないまま、数日が経った今、こんな噂が学園内に立ち上がっているのだ。

学園内に入ったのは目撃はしていない。ならば、何がこんな奇怪な現象を起こしているのだ?と、頭の中でつらつらと考えては見ても、全く見当がつかなかった。

あるクラスの子は、

「この学園に出る幽霊かも……」

とか、

「誰かの呪いじゃないか」

などと、騒ぎ始めようとしていた。

確かに学園内には小さな雑鬼たちはいる。

いるが、人間にいたずらができるほどの力は持っていない。

せいぜい、人間の足にまとわりつこうとして逆に踏まれてしまうほど、小さいのだから……。

雑鬼がいたずら……?否、そんなことができるわけがないが……。

一応、対峙しておくことにしたが、いくら雑鬼を対峙したとて、奇怪な現象は収まることはなかった。

まだ私は、被服の授業を学園祭が終わってから受けてはいない。

とにかく、まずは授業を受けて、どんな状況かを見て判断することにした。

< 16 / 91 >

この作品をシェア

pagetop