道なき恋

始発で帰ると言うので、

始発が出るまでの時間を何処で潰すか、

考えていた。

まだ一緒にいて欲しかったので…

思い切って…

「話しをしながら歩かない?

ついでに送るよ!」

「え! 良いの?」

嬉しそうに言ってくれたので、

私も嬉しくなった。

彼女を歩道の方に歩かせて、

自分は車道側を歩く。

彼女をこのまま奪って遠くまで行きたい

衝動に駆られて、

思わず彼女に『Kiss』をしてしまった。

彼女は最初はビックリしていたが、

怒る訳でも無く

「近くに公園があるから少し座ろう」

と言って来たので、

公園のベンチに2人で並んで座った。

「ダメだよ……

『Kiss』なんかしちゃ……

でも…うれしいよ…

こんな事言っちゃいけないよね。

悪い主婦だよね」

「ごめん。

困らせる気は…ない」

「うん…わかってるよ……

私ね。

あの会社入って

直ぐにまー君のファンになったんだ。

いつも一生懸命に仕事してる所や笑っている所……

荷物を降ろすのに困ってる人がいると

手を貸してあげててたり

羽賀さんと楽しそうに話してる

貴方に恋しちゃったんだ。」

「ごめんね。

こんな事言っちゃいけないよね。

本当に悪い主婦だよ」

彼女は既婚者で10も離れている旦那さんがいた。

悲しそうにしてる彼女を

私は抱き締めてまた『Kiss』をしてしまった。

この瞬間に2人は恋に落ちたのだ

しかもしてはならない恋を…

戻らない時間と引き替えに…
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