who?(仮)

鈴華side


昨日は、ほんとに嬉しかったな。
久々に大輔に会えて…。
歩きながら考える。

自分の部屋のドアの前に止まり、取っ手に触る。
あれ?誰かいる?いやいや!お母さんはまだ仕事だし、気のせいだよ。うん。
自分に言い聞かせ、『ガラガラ』
「「・・・・・・」」
え?
「き、来てたんだね。本当にうれしい!」
どーしよ…。嬉しさ半端ない!だけど、ダイちゃん?

「お前誰なんだよ。」
いきなりか。まぁ、当たり前だよね。
でも、あの時のことは思い出させたくない。
だから、「相谷 鈴華。」
わざとぼけた。
でも、わかってただけど想像以上にキレられてびっくりした。
教えないのは、悪い。
でも、あれ言ったらダイちゃんが壊れる。

あ、そうだ。
「幼馴染だった。」
とっさに、思いついたのがこれだった。
これなら思い出さないよね?
これで、話はずむと良いと思ってたのに、ダイちゃん…。

沈黙を破ったのは、お母さんだ。
助かった。
視線をお母さんから、ダイちゃんに移すと…。
すごい怒ってる…。
当たり前か。

そう思ってたら、ダイちゃんが
「俺、もう帰ります。」
「「え?」」
私は、顔を伏せてたけど驚きのあまりすぐにあげた。
でも、お母さんが「そ、そう。またきてね!」
と言い。私も伏せながら言う。


ダイちゃんが扉を閉めた数分。
「久しぶりだね?」
お母さんがしゃべりだした。
「い、言ったの?」
「言えるわけないじゃん。」
言えるわけない…。
でも、あの時全部言ってたら?
全部元通りになる?
「お母さん、スケッチブック取って。」
「いいけど、何描くの?」
しゃべりながら、引き出しの中から取り出し
私に渡した。
「あ、ペンもいるよね?」
「うん。」
私は、スケッチブックとペンを受け取り
あの時遊んだ、海の絵を描いた。
それをみたお母さんは、
「ちょっ、これダイちゃんに見せるの?!」
「みせないよ?でも私が死んだらみせて。そして全部話して?」
「いいけど、鈴華…。自分で言わなくて良いの?」
「うん。私だとだめだから。」
そう言いお母さんは帰った。

これで良いんだよね?
ごめんね。ダイちゃん。
今日の事、前の事いろいろ辛い思いばっかさせて…。

これで、もう来ないのかな?
「ゴッホッゴホッ」
口を押えてた手を見ると血が付いてた。

大丈夫。ダイちゃん、もうすぐで楽になるよ?
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