そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
その事後

非日常

目が覚める。

眩しい光がカーテンの隙間から差し込む部屋。

私はベッドにまた…独りだった。


あたりを見回してもあのひとはもういない。

いつものように…必ずと言っていい程取り残される。


昨夜は…特に激しかった。途中から完全に記憶がない。

初めての快感。躰に残る気怠さ。あちこち散らかるハナビラ。

あの人の独占欲と、嫉妬と、執着が私の躰に赤い痕を刻ませる。


目覚めた時、その痕の多さに驚かされる。

でも、決して日の光を浴びることのない華。


服を着れば見えない。

そんな場所にしかつけないのはあの人との事が

誰にも知られてはいけない情事。


秘密の事だということを改めて思い知らされる。


その痕は私にとっては非日常の名残り。愛しい人の爪痕。


あの人と会った夜の私は、アルコールの気持ちよさと、

突き抜ける気持ちよさに何度も天に昇る心地になり…

昨日は意識まで手放した。


普段でも、朦朧としたまま起きる気力も沸かず

そのまま眠りに落ちてしまうのに。


だから私は…あの人の寝顔を一度も見たことがない。

私ばかり、無防備な姿をさらしている。


あの人は多くの物を残して、私を置き去りにする。





あの人は本当に…ズルイ。
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