そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
私は給湯室に入り、あの人にコーヒーを

用意している間に出勤した同僚に飲み物を用意しようとしていた。


その時、後ろ手を掴まれ、突然誰かの胸に抱き寄せられる。


瞬間鼻を突いたあの香りに…戸惑いと快感を感じる。


「課長…」


「なんて目で見るんだ?月曜の朝からそんなに煽って

お前、俺をどうしたいんだ?」


パソコンを見ていたはずなのに、なんで、私の気持ちを

見透かしているんだろう。


「俺だって、同じ気持ちだ」


あの人の抱きしめる力が強くなる。そして、うなじに唇を寄せた。


「会社であんな目をするな。

あんな色気を出すな。お前は俺だけの物だろう?」


彼の口角が上がるのを、首筋から感じる。


あの人はしばらく私のうなじに

あてがった唇をあちこちに彷徨わせる。


そうやって、人を弄ぶだけ弄んで、給湯室を出ていった。


私はしばらく壁にもたれかかって、気持ちと、

躰が…落ち着くまでその場に立ち尽くす。


この部屋には、基本この時間私以外に誰も来ない。

それをわかってあの人はこんなことを…

その意地悪な行為にため息が漏れた。


でもその溜息は、困惑と、歓喜のちょっぴり

入り混じった複雑なものだった。
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