そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】

日常

「おはようございます」

いつものように、コーヒーをデスクまで持って行く。

別に強制されてはいないけど、私は毎朝、隣とうちの部署の

男性社員が出勤したら、好みの飲み物を用意する。

うちは1課隣りは2課。


人数の都合分けられているだけで、同じ仕事をする同志だ。

それで、朝食を頬張るもの。お茶をすするもの。


そして…あの人は私の入れたコーヒーを

片手に持ち、メールチェックをするのが朝の日課だ。


「相良君おはよう」


あの人の視線は画面に向けたまま

私に向かって気持ちのない挨拶だけをする。


一昨夜…その掌が、その指が、その唇が私を弄び、

見たことのない高みに連れて行ったのに…


一夜を過ごしてから、次までの夜は…限りなく長い。

それでも、私はあの人しか欲しくないから

その夜を…指折り数えて待つしかない。


一緒の夜を過ごした後の週明けは、

つい色々と考え事をしてしまう。


そう、仕方がないのに。


でもこのままどこかに連れ去って欲しくなる時がある。

邪な想いをぐっと飲み込んで、トレーを返しに給湯室に行く。


いつもなら、そんな朝の繰り返し。

なのに、その日はちょっと違っていた。
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