そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】

承諾

自分の想い、自分の躰なのに自分の思い通りにはならない。
そんな理不尽さを知る。


躰をさんざん弄ばれて、息の上がる私。
さんざん弄ぶことに夢中になって、目を輝かすあの人。

「もうどうでも…」

私はあの人の言葉に導かれて、
躰も導かれて最後に…そう言わされた。

結局降伏させられた。


その瞬間、秘密でも幸福だった
私にとって大切な大切な時間は…終わった。

その後、目覚めた私は、無言のままあの人の差し出す
契約書に、ただサインをした。

無理矢理ではないが、心は晴れるわけがなかった。


もうどうでもいい。もうなるようにしかならない。

このまま限られた時間あの人と堕ちるところまで
堕ちてやる。

死んだ気持ちは、賢明になってかき集めても
欠片しか残っていない。

それでも私は欠片をかき集めて、心の奥底にある
パンドラの箱にしまった。

いつかその箱にある希望が欠片に何らかの変化を
もたらしてくれることを祈って。

サインしたその瞬間、愛人を演じる私が
欠片をしまった箱の前に静かに立った。






そして、幕が上がった。
さあ、私はあの人の愛人。
金に目がくらみ、色欲に狂ったただの…女。
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