そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】

2「…ない」(あのひとSide)

あの従順で、それでいて情熱的だったひな。

別れを告げても泣きごとひとつ言わなかった。

それでも、彼女は俺だけのものだと思っていたのに…






「こんなやつのせいで、あなたがそばにいなくなるのは嫌。

もう一人ぼっちはいやなの…」


魂から搾りだされるような絶叫に近い愛しい声。

でもその相手は俺じゃなかった。

完全に彼女が俺をこんなやつと呼び拒絶した。

その受け入れられない内容に…

途中から聞こえなくなった。


俺は奴が振り回していたものが怖かったんじゃない。

ひなから拒絶された…

その事実に自分が適応できなかった。恐怖が体中に走った。

俺にはもうひなしかいないのに…

そう思って意を決して彼女を手に入れようとしただけなのに…




全く考えていなかった展開に、独りになって考えたかった。

あいつが蹴ったドアが開いたとき、ひとまずその場から…

現実全てから逃げ去りたかった。


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