そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
いつ来るかわからない悪魔に怯えながら暮らす日々。


自分だけならまだしも、守るべきものがあるというのは

人生の支えであると同時に、重荷にもなる。


最悪の気分で毎日を何とか生き、働いているとき…

あの人は転勤してきた。


いつもの異動。いつのも新しい上司。

うちの会社では別に珍しいことではない。



仕事もできる。仕事上の人間関係もそつなくこなしていた。

でも陰があり、危ない雰囲気のある上司だった。

関わらない方がいい。もう男はたくさん。


そう思いながらも、視線がどうしてもあの人を追う。

あの人がなぜか…気になってしまう。


私はあんな旦那でも結婚している人妻なのにどうして?


もう…もう…男なんていいじゃないの?


そう自問自答することもあったが、家に仕事に…

そして、離婚の手続きを始めてからはそんなことを

考える余裕はもうなかった。






そして、離婚が成立した時、考えずに押し込めておいた

気持ちが一気に解放される。


あの人が欲しい。…女としてあの人に抱かれたい。



私は会社の飲み会の後、あの人と同じタクシーに乗った。


そして、タクシーを降りたあの人を…意を決して追う。
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