Summer again with
ナツもあんなふうになってたらどうしよう、なんて変な心配が頭に浮かぶ。
けれど、そのなかのひとりが、私を見て『お』と言った。
『可愛い子いんじゃん』
…えっ。
そのひとは私の前まで来ると、『可愛いね〜』とにこやかに笑った。
…え、なに。私?
これ、ナンパ?
煙草くさい匂いに顔をしかめると、哲さんが『こらこら』と彼を制してくれる。
『今、この子はおじさんと話してるから。また、後で』
哲さんの言葉に、その男のひとは『あ?』といかにもな口調で返した。
『なに、おっさん。邪魔』
…なに、このひと。
哲さんに、すごく失礼。
自分でやめて下さい、と言おうとした、そのとき。
『未海』
…懐かしい、声がして。
すだれのほうを見ると、不機嫌な顔をした彼が立っていて。
…な、ナツ…!
そう声に出す前に、彼が足をこっちに進めた。
若い男の人たちの間を通って、私の手を掴む。
会えたことに嬉しさを感じながら、彼のかっこよさに改めて心臓をやられている私に。
ナツは優しく、大人びた笑みを見せてくれた。
…やばい。
ナツは私に話しかけていた男の人を見ると、にっこりと笑った。
『悪いけど、この子先に声かけたの、俺だから』
…心臓が、大きく鳴る。