Summer again with
私は、涙が出そうになりながら『うん』と言った。
*
それからもう一年した、夏。
私は辛い受験を無事乗り越え、高校一年生になっていた。
おじいちゃんに『高校入学おめでとう』と言ってもらって、そして。
『じゃあ、海に行って来ます!』
そう言ってリビングを飛び出す私に、もう家族みんなが『ハイハイ』としか言わない。
おじいちゃんは、優しい目で見送ってくれた。
海の家に着いて、哲さんの姿を探す。
やっぱり去年と変わらない肌の色で、哲さんはお客さんと喋っていた。
『哲さん!』
私の声に、哲さんとお客さんが振り向く。
ボブを揺らす私を見て、ふたりとも『未海ちゃん!』と言ってくれた。
『久しぶり、哲さん、宮田さん!』
去年知り合った宮田さんは、気のいいおばちゃんって感じの人。
『これまた未海ちゃん、綺麗になったねぇ……』
私を見つめて、哲さんが笑う。
宮田さんも、『美人さんやわ』と言ってくれた。
『ありがとう』と言って、私はいちばん訊きたいことを、口にした。
蝉は変わらない鳴き声をして、海は変わらない色をして。
けれど、君はこの一年でどんなふうになっただろう。
『ねえ哲さん、ナツは……』
そのとき、店のなかに若い男の人たちが入ってきた。
…なんか、ガラ悪い。