悪魔の彼








寂しそうな、いや怒っているのだろうか?


なんとも言えないどっちつかずの表情が彼は得意なのだろうか、といいたくなるような顔を今日何度も見た。






今もそんな表情をしている。








「イアを……解放してほしいか?だがな……あやつはシルヴィアを異世界に飛ばしたのだよ。」




苦しそうに眉を寄せて、頭を垂れる。





「そのシルヴィアが今、この世界に戻って来ているのをご存知ですか?」






ラギールが言う。



今私達は黙って二人の会話を聞いていた。


口をだすことは許されていないような緊迫した雰囲気。






とても私なんかが話しを始められるような雰囲気ではなかったのだ。





「ああ、風の噂で少しばかりね。しかし、信じられる物ではないだろう。」










< 304 / 400 >

この作品をシェア

pagetop