極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

って、口に出して言えたら、もっとスッキリするのに……。


モヤモヤした気持ちのまま、龍之介に向き直る。


「で、社員旅行の話って、何でしょう?」

「あぁ、あれね。ウソウソ、なんにもない」

「……あり得ない」


まさか、我慢の限界でキスするためだけに、ここに連れ込んだとか?


職権乱用! 自分勝手! 極悪非道!!


私のこと、何だと思ってるのよっ!!


「用がないなら、戻ります」


まだ身体を抱きしめられたままの、龍之介の腕を振り解く。


でも、それも一瞬のこと。


またすぐに腕を取られ、壁に押し付けられてしまった。


「もう、なんなんですかっ!! からかうのもいい加減にして下さい!!」

「なぁ菜都。明日からの社員旅行で、あいつとの決着つけてやる」

「あいつ?」

「あぁ、西野拓海。この一週間、俺に対して敵意むき出し。ちょっと焦ったね。このままじゃ、菜都を取られるんじゃないかって」

「そんなこと……」

「でも、そんな心配はいらなかったみたいだな。菜都、俺のことムチャクチャ好きだろ?」

「そ、それは……」


当たってるだけに、悔しい……。


悔しいけど何も言い返せないでいると、目の真ん前まで顔を寄せた龍之介が優しく微笑んだ。

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