極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
そしてその缶をテーブルに戻し徐ろにソファーから立ち上がると、湖が見渡せる窓の方へと歩き出す。
「でもその噂を広めたのが弘田だとわかったのは、最近のことなんだ」
そう言う龍之介の背中が悲しそうで、なんと言って言葉をかけていいのかわからない。
清香さんを見れば、また彼女も悲しそうな顔を見せた。
「最近弘田さんが、怪しい動きをしているのに気づいてね。もしかしたら龍之介さんを陥れたのは……って女の勘が働いたの。で裏でいろいろ調べていたら、経理課の新人君と弘田さんが最近頻繁に会ってることを突き止めてね」
徐ろにカバンから一枚の紙を取り出すと、私に見えるようにテーブルの上に置いた。
「これは?」
「龍之介さんが、会社のお金を使い込んだっていう証拠。業務上横領っていうやつ」
「えっ?」
嘘! 紙を手に取り見てみると、何千万円単位の金額が龍之介の通帳に流れていた。
まさか龍之介に限ってそんなことするはずがない!! 何かの間違いでしょ!!
そう叫ぼうとしたら、清香さんが笑い出す。
「菜都さんは本当に龍之介さんのことが好きで、信じてるのね」
また人の心を勝手に読んで……。
っていうか、私ってそんなに心の中がわかりやすい顔してるのかしら?
「これはね、新人君が弘田さんに頼まれて作ったもの。これが上手くいけば、昇級に口添えしてやるって彼の口車に乗せられてね。でも新人君、あまりの金額の高さに怖気づいちゃって、私に泣きついてきたっていうわけ」
そう言って私から紙を取り上げると、それを勢い良く破り捨てた。