第一話 縁結び神社
「降りろ」 

「嫌です」

 私は強く拒否したが、喉の皮膚を少し切られたことで言うことを聞くしか残された手は無かった。 
 この時期の河原は薮だらけだった。

「あのう・・・・」

「何だ?」

「どうして私があの電話の相手だと分かったんですか?」

「何のことだ?」

「金を用意しろと電話して来たでしょ?」

 男はニヤリとして「なるほど」と言った。 

「あの後、思い直したんだよ。どうせなら確実に金を持っている人間のほうが手間が掛からないって事を。ATMを見張れば金を降ろしたばかりの人間を捕まえられる。たまたまそれがあんただったってことさ」

「えっ、じゃあ、あの電話に従わなくても良かったってこと?」

「あの電話は既に壊されて川の中に沈んでいる。連絡の取りようも無いさ」 

「でも・・・・あの電話の持ち主の女性は何処に?」
「知らん」

「知らんって・・・・」

「電話は駅の階段で拾った」


 私は絶句した。
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