見つめて…
『しっかし……』



ため息をつきながら、人と人とのすき間にやっと見える風景を垣間見た。


『あの夢………バーテンさんもかっこよかったけど……グラスを取り上げたあの男……』



夢を思い出した瞬間に電車が揺れる。



「あっ、すみません……」



少し低い声が聞こえて顔を上げた。



さっきぶつかったオヤジとは違い、爽やかな青年の顔がそこにあった。


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