見つめて…

「通り縋りの色男♪」


男は、片目をつむって指を2本立てこめかみに当てた。



「あっ、そっ。返して!」



私は、欝陶しそうにグラスを取り返えそうと右手を伸ばした。



「おっとお姉さん、本当に飲み過ぎだよ。そのバーボン何杯目?」



フラフラする私に、グラスを取り返せる訳もなく腕が宙を切る。


「失礼な!まだ1杯よ!!」



あまりの理不尽さに腹が立ち思わず声が大きくなった。



< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop