はじまりは政略結婚
背後の私は、海里と何か関係があるんじゃないかと思わせる役どころ。

だから、二人ほどじゃないにしても、一応顔は全部写るみたいだ。

それにしても、私が海里と関係があるかもしれない役だなんて、皮肉すぎて面白くない。

「由香、これは外しときなよ」

撮影の準備が完了するとすぐに、海里が私の指輪に触れた。

「えっ⁉︎ 待ってよ。これは大事なものだから」

とっさに手を引っ込めると、彼は顔をしかめている。

「さすがに本物はマズイだろ? 副社長に預かってもらいなよ」

「う、うん……」

そう言われたら、そうなのかもしれない。

気が進まない撮影だけど、桜さんがいる以上、きちんとやらなければ……。

そもそも智紀がここにいるのだって、彼女が事務所の金の卵だからなんだろうし。

渋々指輪を取ると、腕組みをして険しい顔つきで立っている彼のところへ向かった。
< 193 / 360 >

この作品をシェア

pagetop