はじまりは政略結婚
挑発的な彼の口調に、私は息を飲んだ。

「何が……言いたいの?」

声が震えてしまい、動揺していることが簡単に伝わってしまいそうだ。

「これ、世に出回せたくないだろ?」

ニヤリと笑う海里を見て、こんな人だったったかと疑いたくなる。

確かに冷たいところはあったけど、根っから悪い人ではなかったと思っていたのに……。

今では、私を脅そうとしている。

再会をした元カレが、記憶にある人とかなり変わっていたことに、少しの寂しさを覚えた。

「当たり前でしょ。それにそんな写真、撮っている方が最低よ」

ちょうどその時、注文したアイスコーヒーがやってきて、海里はさっと写真をカバンにしまった。

それにしても、変装しているとはいえ、どうしてこんな普通の店を選んだのだろう。

写真なら、自分の方こそ撮られそうなのに……。

「なあ、由香」

店員がさがったのを見計らったように、海里は腕を伸ばし手を握った。

「な、何なの? 離してくれる?」

緊張が高まるのを感じながら、彼を睨む。

「そんな怖い顔するなって。周りが見たら、変に思うかもしれないだろ?」
< 216 / 360 >

この作品をシェア

pagetop