はじまりは政略結婚
「だけど、由香に知られるのだけは避けないとな。智紀をすっかり信頼しているのに、こんな写真を見たら誤解する。涼子もようやく、お前への気持ちを整理できたのに」

「たしかに、週刊誌に取り上げられたらマズイよな。涼子は、オレがモデルとしての道を作ったから、愛情と勘違いしてたんだよ。オレたちは、いわゆる師匠と弟子みたいなもんだから」

もう一度ため息をついた智紀は、困ったように眉を下げた。

「オレたちとライバルのマスコミが、これを入手してるんだよ。回収するには、これ以上のネタを提供するか、それとも金を積むか……」

お金を積む⁉︎

過激な智紀の言葉に目を丸くする私とは違い、兄はいたって冷静だ。

それにしても、いつの間に涼子さんと智紀の問題は解決していたんだろう。

あの写真は、やっぱりふたりを疑うようなものではなかったみたいだ。

だけど、またもや大きな問題が発生しまみたいで、私も息を飲んだ。

「で? でどころはどこなんだ、智紀?」

「……海里。いろんな意味で、由香には知られたくないんだよな」
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