はじまりは政略結婚
智紀への疑惑
左手の薬指に指輪がはめられ、すっかり元どおりの生活に戻った……と言いたいところだけど、肝心な海里との話は全く終わっていない。

「気づいてないはずはないけどな。由香にも全然連絡ないのか?」

今日は、いつもより朝に余裕がある智紀と、朝食を一緒にしながら海里の話をしていた。

里奈さんとのことがあって一週間。

きっと彼女から聞いているはず、と思っているのに、海里からの接触はない。

「うん……、全然。聞いてないはずはないのに」

ヨーグルトを口に入れ、思わずため息をついた。

「そっか。まあ、唯一、あいつが持っている由香との写真は、回収できてないけどな。とはいっても、根回しをしてあるから、今さら売れないけど」

淡々と話す彼に目を向けてみたけれど、どういう根回しなのか、怖さの方が勝って聞けない。

お金で解決したのか何なのか、私には想像もできなかった。

「それなら、なおさら黙ってるはずないのに。海里って、智紀を相当逆恨みしてたから」
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