はじまりは政略結婚
そういえば、以前にも変装をしてテレビ局に行ったけど、智紀に見破られたことがある。

だから、今夜は目出し帽に伊達メガネ、それにマスクをして局へ向かったのだった。

「ったく、第六スタジオってどこよ」

こんな格好で案内板を確認する私は、この場に不慣れな不審者そのものに見えるだろうけど、警備員にはちゃんといつもの身分証を提示しているから、声をかけられることはない。

案内板を見ると、海里が指定してきたスタジオは六階にあり、かなり大きなものみたいだ。

「ここだけ、一つしかスタジオがないのね」

とにかく、早く行って話しを済ませてしまおう。

エレベーターに乗り込むと、六階を目指した。

緊張と不安でドキドキするけど、心のモヤモヤを早く取り除いてしまいたかったのだ。
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