はじまりは政略結婚
相変わらず強引なキスだけど、私の心を惹きつけて離さない。

しばらくキスを続けていると、週刊誌が落ちる音がして我に返った。

それは智紀も一緒で、「これを由香に見せようと思ってたんだった」と言いながら拾い上げている。

「まさか、何か書いてあるの?」

海里のことが蘇り、不安がよぎる。

あれから彼は、事務所の社長とかなり精力的に仕事を頑張っていると、桜さんから聞いた。

だから、変な記事であって欲しくない。

そういえば、桜さんは私と智紀の結婚発表に、かなり興奮していたけれど、ここまでこれたのは彼女のお陰でもある。

私に里奈さんの話をしてくれたこと、智紀に連絡してくれたこと、それがなかったら今のこの幸せは、手に入れられてないかもしれないから。

海里推しをやめた彼女は、次は誰のファンになるんだろう……。

「書かれてあるのは間違いないけど、心配するようなことじゃない。ただ、ビックリすると思うけど」

ニヤッとした智紀が、私に週刊誌を開いて手渡した。
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