はじまりは政略結婚
すると、兄はようやく顔を上げ、涼子さんの肩を軽く叩く。

やっと彼女も顔を上げたところで、兄は話を進めた。

「それは、ふたりの結婚は、ビジネス的に大きな意味を持つからなんだ。世間は、政略結婚と受け取ってる。そんな大事な式より前に、オレたちが挙げるわけにはいかないんだよ」

「そんな……。なんか、納得いかない」

チラリと智紀を見ると、仕方ないといった感じで、頷いている。

「涼子さんは、それでいいの? 涼子さんの花嫁姿、絶対にキレイなのに」

「うん、いいの。私は、祐也と結婚できるなら、それでいい。それより、由香ちゃん。重ね重ね、ごめんなさい。智紀を吹っ切る為に取った行動が写真に撮られて、迷惑をかけたばかりなのに。またこんな……」

肩を落とす涼子さんの手を、思わず握っていた。

「謝らないで、涼子さん。なにも悪くないもの。もしかして今日は、その為にここへ……?」

「ええ。来週の週刊誌に、私たちの記事が載るって聞いて……。本当は、もう少し整理してから、由香ちゃんには話そうと思ってたんだけど……」
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