はじまりは政略結婚
「ありがとう。わざわざ、こうやって来てくれて。そして、おめでとう。こんなにおめでたい話なのに、お兄ちゃんも涼子さんも暗すぎだよ」

立ち上がった私は、まず涼子さんの手を取った。

「冷たい床で、正座なんてしちゃいけないですよ。ほら、ソファーに座って」

促すと、涼子さんは申し訳なさそうに私を見ている。

「由香ちゃん、ありがとう。そして、本当にごめんね」

「もう! さっきから、謝りすぎ。なんで、謝ってばかりなの? おめでたいことなのに」

もはや涼子さんは泣きそうなくらいに、頼りない表情をしている。

「だって、由香ちゃんと智紀の結婚を邪魔したみたいで……」

よく分からないけど、そう捉える『世間的な事情』でもあるのか。

ため息をついた私は、涼子さんをソファーに座らせた。

「さっき、涼子さんが言ってたじゃないですか。お兄ちゃんと結婚できればいいって。私もです。智紀と結婚できればいい。誰が先とか、関係ないですから」
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