春のバス停と大先輩
「ここは良い場所ねぇ。」


おばあちゃんは優しく話しかけてきた。


「今日は暖かいわ。
もう春なのねぇ。」


そう言って、おばあちゃんは太陽に微笑み返すかのように目尻を下げた。


「散歩ですか?」


「そうなの。
お姉ちゃんは?」


「私は友達と待ち合わせだったんですけど…。
ドタキャンされちゃって。」



あたしは人見知りなのだが、なぜか、このおばあちゃんは初対面だというのに、まっすぐに目を見て話せた。
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