color ~蒼の色~

夏休み~side 平井 優太~

待ち合わせは道場前。

花火大会参加者、生徒のごく一部。

自転車をとめ、続々と集まってくる友人達。

(おせーなぁ…あいつ)

まさか、この期に及んで、
「やっぱ行かね~」
なんてことになってんじゃないだろうか。

(それはまずいって、総二郎)

そわそわしながらターゲットを待った。


花火大会より、遡ること10日ほど前。

俺は峰さんに、稽古の合間に呼び止められた。

「平井君、お願いがあるんだけど」

「なに?」

「今度の花火大会、総二郎君誘ってくれないかな?」

「なんで俺が?」

二人の仲を取り持つほど、俺はお人よしじゃないぞ!
俺だって彼女欲しいんだ!!

が、次の峰の一言に、俺の気は変わった。


「うちの学校の子も誘うから、グループで、ね?」


うちの学校の子も、誘うから―…。


「乗った!!俺に任せろ!!」

「ありがとう!」


つい、ね。
俺にだって巡ってきたチャンスだ!
なんとしてでも、奴を引きづり出してやろう!

稽古に身が入らないほど、練りに練った作戦を考え、終了時刻、だるそうにしながら帰ろうとする総二郎を呼び止めた。

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