color ~蒼の色~
そんな生活を送っていた、小学四年の夏。

そんな母のところへ帰りたくなくて、店を出てから家とは逆方向に歩いていた。

商店街を抜け、いつもと逆方向にひたすら歩き続けた。

(こっち、こんなふうになってたんだ)

普段なら通らない道。
違う世界。

(私が帰ってないのがバレて、お父さん探しに来てくれないかな)

…………来るわけないか。

母は私が遅く帰っても、どうせ父の店にいるんだろうと思い、連絡なんてしないだろう。


きっと、探しもしない。


もう、このまま全部なくなればいいのに。


歩いて歩いて、気づけば材木置き場らしいところにたどり着いた私。


薄暗くなっていく中、積み上げられたたくさんの木。

(なんか、いいにおい…)

一歩一歩中に入れば、濃い木の匂いが立ちこめ、夏の夕暮れ時の匂いに混じり、なんともいえない安堵感が肺いっぱいに広がった。

表から見えないよう、材木の陰に隠れるように座り込んだ。


(どうか、バレませんように…)


ここは私の隠れ家だ、なんて思っていた。


そんな矢先だった。
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