ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「ウソだろー!?
世界の裏側までいける剣って、どんだけ長いんだよ!?」
「っていうか、浦島太郎って、ええええ!!」
取り乱す2人の前で、アレクがごほんと咳払い。
「聖剣は、この川の中を漂っている。
その動きは誰にも予測できず、捕まえようとおもって捕まえられるものでもない。
そして、どうやら裏と表の世界をいったりきたりもしているようだ。
ウラシマが聖剣を釣ってしまったのは、ものすごい偶然だと思われる」
「…………」
「ウラシマには、衛星を入れた箱を渡して帰らせた。
帰ってすぐその箱を開けたウラシマは、衛星が飛び出る時の煙に巻かれただろうな。
その衛星がお前たちの世界の上で観察をする。
その映像を見て初めて、俺たちの先祖も裏側の世界があることを知った」
それが、玉手箱の伝説に……?
素直には信じられないが、二人ともだんだんと異世界の現実を受け入れはじめていた。
少し考えて、仁菜が口を開く。
「もしかして、今回も何らかの原因で聖剣が川から離れてしまった。
そのタイミングで、あたしたちが川に落ちてしまって、こっちの世界に迷い込んでしまったと……」
「たぶん、そういうことだろう」
「たぶんって……」