ヤンキー君と異世界に行く。【完】


2人が顔を見合わせていると、カミーユがうなずく。


「……じゃあ、たぶんそれが原因ですね」


「そして、川辺で倒れているお前たちを、たまたま見回り中に見つけた俺が拾ってきたんだ」


アレクが低い声で言い終わるやいなや……


「よし!」


突然隣の颯が立ち上がり、仁菜の手をとる。


仁菜はびっくりして、引きずられるようにイスから離れた。


「じゃあ、その川にもう一回飛び込めば、元の世界に帰れるかもしれねーってことだ!
行くぞ仁菜!」


「ちょ、行くってまさか川へ!?
どうやって行くか、わかるの?」


「……たぶん、なんとかなる」


「ならないよう!」


目の前の地図が見えないのか、このヤンキーは。
仁菜はがっくりと肩を落とす。


この国の回りは砂漠。
下手に出て行って方角もわからずに歩き回れば、すぐに死んでしまう。


「ちょっと待ってよ、だから契約の刺青がある間はムリだって。
川に飛び込めたとしても、吐き出されるだけだよ」


ラスが座ったまま二人に言う。


「さっきも言ったけど、ハヤテにはある『木の実』をとってきてもらう。
それがお前の任務なの」


「木の実……?」








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