ずっと大好き…この恋は永遠…



『うまくできたっ』

そう騒ぎながら持ってきたケチャップ絵は、象の絵。


子供受けしそうな可愛らしい象に思わず吹き出した事を思い出して、浅井の口元が緩んだ。



「とりあえず…りんごがむけてオムライスが作れれば十分だな」


なかなか上達しそうにないみのりもキッチンに立つ事だけは多い。


自分のために頑張る姿を見るだけでも十分に思えていた。



「…佐倉先輩、料理できないんですか」


裏目に出てしまった言葉に浅井が顔をしかめてから、タバコをケータイ灰皿に押し込んだ。



「何考えてるか知らねぇけど、憧れの先輩の彼氏に手出すのはどうかと思うけど?」


「……」


口を閉じた塚越に背中を向けて歩き出しながら声をかける。



「20分経ったから行くぞ」


ため息混じりに言った時だった。




「佐倉先輩だって…浅井さんを奥さんから奪ったんじゃないですか」


「…―――っ」


耳を疑って振り返ると、塚越がにっこりと浅井に笑いかけた。


「戻りましょうか」


そう笑う塚越に、浅井が眉をひそめた。



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