カラダ探し
そして、あの曲がり角で殺されたのか。


「健司も……私も同じような感じかな……背中にしがみ付かれて……踊り場で」


理恵だけじゃなく、健司も、翔太に殺されたようなものだ。


私は、もう怒りを抑える事ができなかった。




教室に入ると、翔太が何事もなかったかのように、高広と留美子に話をしていた。


健司はいつもと変わらない表情だから、わからないけれど、怒っている時は良くしゃべるようになる……玄関で会った時、あれだけしゃべっていたんだ、よほど頭にきたのだと思う。


私の後に続いて入った健司が、まっすぐ翔太に歩み寄り、その後ろ襟をつかんで、思い切り後ろに引いて床に倒した。


きっと、「昨日」翔太に同じ事をされたのだろう。


普段大人しい健司が、こんな行動に出たのを見て、高広も留美子も驚いた様子。


「いってぇ……何するんだよ!」


自分を見下ろしている健司をにらみ付ける


「健司、一体どうしたのよ? 翔太にそんな事するなんてさ」


留美子が慌てて仲裁に入ろうとするが、高広が留美子の腕をつかんで止める。


「ちょっと、高広……何で止めるの?」
< 52 / 634 >

この作品をシェア

pagetop