車椅子から見える愛

突然愛する人を亡くしたときに、その現実を理解することにも時間がかかるんだと思うの。


母は、何が起こったのかわからない状態だったみたい……。


そんな状態の中でも、お通夜やお葬式はどうするのか、考えなくてはいけなかったの。


父は病気だから……。


父はただただ泣き続けていたわ……。


母が頑張るしかなかったの!


お通夜やお葬式に、何人訪れるのかなんてわかるわけがないし。


お節介な近所の人が母やおばあちゃんにこう言ったわ。


「あんたのところの葬式には誰も来ないんでしょ」


そうかもしれない……。


親戚は私のことを隠しているので来るはずがない……。


家族だけのお葬式。


近所の人に言われて悔しいけれど、そうなるのだろう……。


それに葬儀場では私が怖がったり、私の世話をするのが大変だということが一番の理由で、自宅葬にすることにしたの。


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