Blood Tear

　「礼もなしかよ」


遠くから見守っていたレオンはそう言うとコウガに歩み寄り変な争いに関わるなと一言。


２人は窓側の席に戻ろうとしたが、男性に案内されカ ウンターの席についた。




　「料理はクレアちゃんが全部食べちゃったからもう ないけど、飲み物なら何でもあるから」


　「はぁー！？彼奴が全部食べただと！？」


コップを綺麗に拭きながら柔らかく微笑む年配の男性。


彼の言葉にレオンは信じられないと女性が出て行った扉へと目を向ける。




　「彼女、この町の人じゃないですよね？」


　「あぁ、違うよ」


銀色の髪に真っ白な肌。

瞳は血のように赤い紅色。



陽に焼けた茶色い肌が特徴的なこの町の人間ではない 事は直ぐにわかる。




　「誰かを探して旅をしてるみたいだけど、この町が気に入ったのかな、随分と長い事ここにいるね」


あり合わせの材料で作った料理を出すと親切に彼女の話をしてくれた。




　「クレアちゃん、いつも絡まれちゃっててね。大変だよ。あまり人に心開かないから、仕方ないんだろうけどね」


そう言うと再び騒ぎ出した男達に酒を運ぶ。




　「助けられたのは初めてなんじゃないかな。でも手を貸さなくても大丈夫だったのに。君も強そうだけど、クレアちゃんも強いから」


助けに入り驚いたと言うと割れた皿を片付けに行った。




　「何であんな奴の事なんか聞くんだよ」


出された料理を食べながら問うが、コウガは別に…と短 く答えるだけで真意を教えてはくれなかった。


料理を口に運び何かを考えるように遠い目をするコウガ。

そんな彼をレオンは不思議そうな顔をして見つめるのだった。