Blood Tear


 「…辛かったでしょう……苦しかったでしょう……よく耐え抜きました……」


話を聞き終えたシェイラは彼女を抱き締めそっと囁く。


思いもしなかった出来事に彼女は驚くが、シェイラは気にする事なく彼女の頭を優しく撫でる。




 「…マット・ディレクト……」


レグルはその名を呟くと、顎に手を添え考える。



マットと言う男性との面識はないが、彼の事はコウガ達から話に聞いている。



少女の姿をしたアンドロイドを連れる化学者の男。


ライアと行動を共にする者であり、自分達と相容れない存在。




人と同等以上のものを造り出す事が可能だと言う事は、この世界を変えた後、人間をも創り変えるつもりなのかもしれない。



彼等の目的の先がわからない。



レグルは溜め息を吐くとソファーに深く腰掛け目を瞑った。










< 298 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop