Blood Tear
「…辛かったでしょう……苦しかったでしょう……よく耐え抜きました……」
話を聞き終えたシェイラは彼女を抱き締めそっと囁く。
思いもしなかった出来事に彼女は驚くが、シェイラは気にする事なく彼女の頭を優しく撫でる。
「…マット・ディレクト……」
レグルはその名を呟くと、顎に手を添え考える。
マットと言う男性との面識はないが、彼の事はコウガ達から話に聞いている。
少女の姿をしたアンドロイドを連れる化学者の男。
ライアと行動を共にする者であり、自分達と相容れない存在。
人と同等以上のものを造り出す事が可能だと言う事は、この世界を変えた後、人間をも創り変えるつもりなのかもしれない。
彼等の目的の先がわからない。
レグルは溜め息を吐くとソファーに深く腰掛け目を瞑った。