Blood Tear
大粒の雨が振りしきる翌朝。
灰色の雲の広がるどんよりとした空を見上げ、重い溜め息を吐くとカーテンを閉める。
「おはようごさいます」
「おはよう」
部屋を出たコウガはリビングに出るとグラスに水を注ぐ。
「…ん……?」
冷えた水を片手に口元に添えた瞬間、彼は何かに気づきグラスを放すと数回まばたきを繰り返す。
目の前に居るのは、ウェーブのかかったプラチナブロンドの髪に翡翠色の瞳をした女性。
見覚えのない彼女に誰なのだろうと首を傾げる。
「彼女はレグルの客だそうですよ」
「レグルの知り合い?」
コウガの疑問に答えたのはジーク。
紅茶を優雅に飲みながら歩み寄ってきた。
「私も深くは知りませんが、昨晩何かあったようですね」
キッチンに姿を消す女性の後ろ姿を見つめるジーク。
何か不信な事でもあるのだろうか、目を細めると紅茶を口に含んだ。