Blood Tear
この状態から抜け出そうと身をよじるが、その度に新 たに走る激痛。
歯を食いしばりその痛みに耐える。
「君は俺には適わない。昔からそうだっただろ?」
壁に貼り付け状態にされたクレアにゆっくりと歩み寄 るフリードと呼ばれた男。
そんな彼を赤い瞳で睨み付けるが、今の彼女の睨みは何の恐怖も与えない。
「未だに正気でいるなんて、よく耐えてるね」
「…煩い……」
「あの時狂えば良かったのに」
「うるさ……っ…!」
クレアの正面に立つと肩に刺さった短剣の柄に手を添えグッと押し、彼女の肉を裂いていく。
額には汗が浮かび、息は荒くなる。
「一度狂ってみなよ。そうすれば、この気持ちもき っとわかる」
そう言うと傍に転がっていた死体の腕を掴み自らの口へと運ぶ。
そして血を口に含むとクレアの顔を動かないように掴んだ。
「…止めろ……!止め……!」
何をするのか悟った彼女は首を振り抵抗するが動けない。
嫌味に笑うフリードはクレアに顔を近づけ、そっと唇を合わせた。