Blood Tear
物凄いスピードで距離を縮め、声を上げながら鎌を大 きく振り上げる。
フリードと呼ばれた男は迫り来るクレアを一歩も動かず見つめていた。
振り下ろされた鎌を一歩横に動き交わすと、彼女の腹 に重い蹴りを入れる。
「う゛っ……!」
軽々と交わされ更に蹴りまでくらった彼女は腹痛に顔を歪め鎌を手放してしまう。
よろめきながら壁に背をぶつけた彼女を目に、右手の指をパチリと鳴らす男。
するとどこからか現れた幾つもの短剣。
それらはユラユラと宙に浮き、彼が腕を振ると猛スピ ード飛んで行く。
目にも止まらぬ速さで進んだ短剣は壁にぶつかった クレアの肩、腕、脇腹、太股に突き刺さる。
「あ"ぁーー!!」
あまりの激痛に悲鳴を上げる。
所々に血が滲み、彼女の服を真っ赤に染めて行く。