Blood Tear
掴んだクレアの肩を離れたその手は彼女の近くで浮遊する。
何か迷っているかのように、触れそうで触れない位置をさ迷っていた。
「…貴方には悪い事をした……何度謝っても足りない位、貴方を傷つけた……一生償っても償いきれない程の間違いを犯した……私はもう二度と、貴方を傷つけたりしない…貴方を否定したりしない……貴方をこれ以上、この血に縛り付けたりなんかしない…… だからフリード…貴方は自由に生きて……闘う必要も、逃げる必要も無い……何にも縛られる事無く、この世を、自由に……」
掠れた小さな声で言う彼女を見下ろす為身体を動かすと、重心を崩した彼女は前のめりに倒れ行く。
意識を失っているのか、その瞳は閉じられ両手を突き出す事は無い。
「っと……」
直ぐ傍を通過して行く彼女に腕を伸ばすフリード。
左腕で彼女の身体を受け止め抱きかかえた。
「…クレア……?」
「……」
腕の中の彼女を揺すりそっと名を呼ぶが反応は無い。
顔色も悪く呼吸は浅い。
しかし命に別状は無いようだ。