Blood Tear


 「…何謝ってんだ……悪いのは、罪を背負わせた俺の方なのに……なのにお前は……」


彼女を抱く腕に力がこもる。


傷口を圧迫したのか苦しそうに彼女は唸った為、力を緩めるとそっと腕を離す。




 「自由に生きろ…か……」


独り呟くフリード。


宿の壁に背を預けるように彼女を座らせ、乱れた銀髪に優しく触れる。




 「…お前ももうこの罪を背負う必要は無い。何も抱える事無く幸せに生きろ、クレア……」


その言葉を残し、彼は其処から立ち去って行く。



一度も振り返る事無く、彼女の幸せを祈りながら独り何処かへ姿を消した。




遠ざかって行く足音を耳にするクレアだが、意識を手放す彼女は彼の姿を目にする事はない。


ピクリと指は何かに反応し動くが、閉じられた瞳は開かれる事はなかった。










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