Blood Tear
クレアは悔しそうに唇を噛み力強く地を叩く。
そしてフラフラと立ち上がりフリードの消 えた方向へと歩きだす。
だが、頭がボーッとして景色が歪む。
周りの音が聞こえなくなり、バランスを崩すと遂に意 識を失った。
「…っと……」
近くにいたコウガは倒れ行く彼女を支える。
大丈夫かと声をかけるが意識はない。
だが息はあるようだ。
体は傷だらけで真っ赤な血が溢れていた。
肌は冷たく血の気がないように青白い。
そんな彼女を背負うと安全な場所へと運ぶ為歩き出す。
「こいつ、『赤目の死神』じゃねぇか?」
「赤目の、死神?」
苦しそうな彼女を見ながら呟くレオン。
彼の言葉にチラリとコウガは視線を移す。
「あぁ、禁忌を犯した一族…人を喰らうその一族を皆 殺しにした、巨大な鎌を持つ少女……」
血のように赤い瞳。
サラリとした長い銀髪。
そして身の丈程ある巨大な鎌。
全てが話と一致する。
「…一族を殺したのかもしれない…でも、そうするしかなかった…それが、唯一の最善策だったんだ、きっと……」
俯き加減にそう呟くと、足早にこの場を後にした。