風に恋して:番外編
「いや。レオがちゃんと教えてくれるまでキスはしない」

リアは手を離して膝の上に置いた本に視線を戻してしまった。そしてレオはようやく“心当たり”とやらに気づく。

しかし、あれは隠し事にカウントされるのだろうか……?

「だって、お前あのときは熱があって……」

ぼんやりとしていたし、起きてからも覚えていなかったから。だからいいと思っていたわけではないのだけれど、ただレオもわざわざ掘り返すことをしたくなかったのだ。

まだ、リアに想いを伝えていなかったから。

リアに、嫌われたくなかったから。

秘密のファーストキス。

そう、あれは……リアが初めて自分の意思で赤い瞳を使ってマルコを助けようとした後の出来事――
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