風に恋して:番外編
「エンツォ、久しぶりだね」

――うん。

「大変だったの。ルカは早く出てきたがっていたくせに。それになんだか、産まれてから力が強くなった気がするの。風でよく遊んでいるし……ご機嫌を損ねると手がつけられないくらい」

――でも、元気に産まれてきて良かった。ルカ……俺は君にも、謝らなくちゃいけないな。でも、もう届かないんだ。ごめん。

『んー、んー!うー』
「わっ!?ルカ……っ」

――俺の風は、何も届けられなくて、ごめん。

『んぅー、え!』
「…………エンツォ?」

――リア。俺は、ここにいるよ。君に伝えたくて。でも……

「……ほんと、に?」

――リア?

『うー』
「うん」

――聴こえるの?

「うん。ちゃんと、聴こえるよ。ねぇ、“ごめんね”は言わないで?」

――リア……っ、ごめん。

「ふふっ。ダメって、言ったのに」

――ごめ……ははっ!ルカ、リア、レオも、ありがとう。


What I really wanted to tell you was… “Thank you.” *END*
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