風に恋して:番外編
『んぅー』

ルカの声がして、リアがレオの胸を押し返す。

「ルカ、もう少し寝ていろ」

レオは眉間に皺を寄せた。先ほどまで眠っていたはずの息子はどうしてこういうタイミングで起きるのだろう。リアはルカが起きていると、なかなか触れさせてくれないのだ。

『ぱー?』

その声とともに、ふわりと風が吹く。

「レオ、もう離れて」

そう言ってレオの身体を押し退けようとするリアの手首を掴んでソファに押し倒した。リアの膝の上にあった本が音を立てて絨毯に落ちる。

『きゃはっ、うー!』
「別に、構わない。ルカも喜んでいるだろ」
「ダ――っ、んっ」

素早くリアの唇を塞げば、ルカが嬉しそうな声を上げてくるくると部屋の中を駆け回った。最初は抵抗していたリアも深くなっていく口付けに観念するかのように大人しくなる。

「……今の、何回目のキス?」
「そ、なの……わからないよ……」

長いキスの後、唇が触れそうな距離で問うとリアは熱い吐息の合間に答える。

もう何度も、数え切れないくらいキスをしているのに。

「俺も、わからない……でも、全然足りないってことは、わかる」

レオがもう1度更に熱く唇を塞げば、リアもそれに応えてくれる。そして、指を絡ませて握った手を……リアはそっと握り返してくれた。


It is not a secret anymore... *END*
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